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第68話 俺もお前を愛してる

last update publish date: 2026-05-12 06:03:21
……いや、てかそれはそれでズルい。

上手くなりたいのか、キスさせられたいのかわかんないし、

でも下手だと文句言われるし。

どんな地獄の個人授業なのこれ。

佐伯はそんな俺の混乱なんて完全スルーで、次の文を読む。

Je vous aime愛してる

柔らかい声が耳に落ちて、思わず首を傾けながら聞き入ってしまう。

「ジュ… ブ… ゼイム」

恐る恐る言うと、佐伯はまた、俺にしか見せない優しい微笑みを口元にだけ浮かべた。

目元はそんなに変わらないのに、口角だけふわっと上がるこの表情。

ずるい。ずるすぎる。

Je vous aime aussi.俺もお前を愛してる

返事をするみたいに、落ち着いた声で。

どこかくすぐったそうに。

意味なんか全然わからないけど、“会話してる” 感じがして胸がきゅっとなる。

え、ちょっと待って。

なんか今のは、プリントに載ってない言葉のような……。

「それ、どこに書いてあるの?」

「いいから次。早く読んで」

また、今度は瞼に軽くキスされた。

そこからは、耳が慣れたのか、

それとも佐伯の指導が単純にうますぎるのか
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